【販売士2級】商品予算計画完全攻略:基準在庫法・百分率変異法の計算公式と仕入予算・OTB管理の出題急所

【対応ハンドブック】リテールマーケティング(販売士)検定 2級

2級ハンドブック(応用編 上巻)第2編 第2章 第2節 項目2-1「商品予算計画」対応

目次

1. 理論の要約:商品予算計画の体系と在庫・仕入予算の計算構造

商品予算計画(ダラープラン)の意義と5段階編成プロセス

リテールマーケティング(販売士)2級のマーチャンダイジングにおいて、部門・店舗の収益管理を担うマネージャーに不可欠な実務知識が「商品予算計画」です。

商品予算計画とは、売上高や在庫高、仕入高などを金額ベース(ダラーコントロール)で体系的に計画・統制する手法です。企業の財務目標(GMROI・投下資本利益率の確保)と顧客ニーズの双方を満たすため、以下の5段階で編成されます。

  • 1. 売上高予算:年間計画売上高を算定し、月別・週別に配分する
  • 2. 在庫高予算:欠品を防ぎ過剰在庫を抑制する適正な月初在庫高を算定する
  • 3. 減価予算:値下高、商品減耗高、社員・顧客割引額を見積もる
  • 4. 値入高予算:目標粗利益と減価を回収する初回値入率・値入高を決定する
  • 5. 仕入高予算:売上・減価・在庫のバランスから当月の仕入枠を確定する
  • 在庫高予算の算定方式:基準在庫法 vs 百分率変異法

    月別の月初計画在庫高を算定する代表的手法が「基準在庫法」と「百分率変異法」です。対象商品の商品回転率の高低に応じて使い分けられます。

  • 基本数値の算出
  • * 年間平均在庫高 = 年間計画売上高 ÷ 予定商品回転率
    * 月平均売上高 = 年間計画売上高 ÷ 12カ月

  • 基準在庫法(Basic Stock Method)
  • * 適用対象:予定商品回転率が「年6回以下」で、売上変動が比較的小さい商品(定番品・低回転品)。
    * 計算ロジック:最低限維持すべき在庫(基準在庫高)に、その月の計画売上高を加算します。
    * 計算公式:
    * 基準在庫高 = 年間平均在庫高 − 月平均売上高
    * 当月月初計画在庫高 = 当月計画売上高 + 基準在庫高 = 当月計画売上高 +(年間平均在庫高 − 月平均売上高)

  • 百分率変異法(Percentage Variation Method)
  • * 適用対象:予定商品回転率が「年6回以上」で、売上変動が大きい商品(流行品・季節品・高回転品)。
    * 計算ロジック:売上の増減率の「50%(半分)」だけ在庫を伸縮させ、過剰在庫や極端な在庫不足を緩和します。
    * 計算公式:
    * 当月月初計画在庫高 = 年間平均在庫高 × [1 + 1/2 × {(当月計画売上高 − 月平均売上高)÷ 月平均売上高}]
    * 簡略式 = 年間平均在庫高 × 1/2 × [1 +(当月計画売上高 ÷ 月平均売上高)]

    仕入高予算とオープン・トゥ・バイ(OTB)管理

    適正在庫を維持しながら売上を達成するため、当月に仕入れるべき金額枠を管理します。

  • 当月仕入予算高(売価)の計算公式
  • * 当月仕入予算高 = 当月計画売上高 + 当月計画減価高 + 当月期末計画在庫高 − 当月期首計画在庫高
    * ※月末に残す在庫は加算し、すでに手元にある月初在庫は控除します。

  • 当月仕入予算高(原価):当月仕入予算高(売価)×(1 − 予定値入率)
  • オープン・トゥ・バイ(OTB:発注可能残額)
  • * 発注可能残額(OTB)= 当月仕入予算高 −(期中発注残高 + 入荷済み仕入高)
    * 月初に仕入枠を使い切らず残しておくことで、売れ筋商品の期中追加発注や需要変化に柔軟に対応できます。

    予算管理項目計算公式・定義適用基準・役割実務上のポイント
    基準在庫法当月計画売上高 +(年間平均在庫高 − 月平均売上高)年6回以下の低回転品・定番品年間平均在庫高から月平均売上高を引いた基準在庫高を加算
    百分率変異法年間平均在庫高 × 1/2 × [1 +(当月計画売上高 ÷ 月平均売上高)]年6回以上の高回転品・流行品売上変動のズレ率に50%のクッションを効かせて在庫を伸縮
    仕入高予算当月売上高 + 減価高 + 月末在庫高 − 月初在庫高当月仕入枠の決定(売価・原価)月末在庫はプラス、月初在庫はマイナスで計算
    OTB管理仕入予算高 −(発注残高 + 入荷済高)期中の発注可能残額統制枠を温存して売れ筋の期中追加発注に対応

    2. 現場イメージと具体例:部門管理者に見る予算統制と在庫コントロールのリアル

    アパレル売場主任の失敗:繁忙期に基準在庫法を適用した過剰在庫

    アパレル部門の売場主任が直面しやすい現場の落とし穴が、商品回転率を無視した在庫予算の設定です。

    冬物の繁忙期である12月、年8回転と高回転のニット製品に対して誤って「基準在庫法」を適用してしまいました。基準在庫法は売上の急増分がそのまま在庫に上乗せされるため、売場に膨大な在庫を抱え込み、年明け1月のセールで大幅な値下げ(マークダウン)を余儀なくされ、部門粗利益を大きく損ないました。高回転品には、売上変動を半分に緩和して在庫をコントロールする「百分率変異法」を採用すべきでした。

    OTB(発注可能残額)を温存するバイヤーの戦略

    優秀なバイヤーは、月初の段階で仕入予算枠を100%消化するような全額発注は行いません。

    例えば当月仕入予算が1,000万円の場合、初期発注を700万円に抑え、300万円のOTB(発注可能残額)を手元に残します。月半ばに急な天候変化で防寒アイテムが急伸した際、この枠を使って即座に追加発注をかけます。枠を使い切っていれば、売れ筋の欠品による機会ロスか、予算オーバーによる過剰在庫を招くことになります。

    3. 試験対策・得点力アップの急所:頻出ひっかけパターンと計算問題の解法

    ひっかけパターン1:基準在庫法と百分率変異法の適用基準の逆転

  • × 誤りの選択肢:「百分率変異法は、商品回転率が年6回以下で売上変動の小さい商品に適用される。」
  • ○ 正しい理解:年6回以下は「基準在庫法」です。「年6回以上で売上変動が大きい商品」には「百分率変異法」を用います。「6回」を境界とする高低の対応関係は試験で最も問われる急所です。
  • ひっかけパターン2:仕入予算高の期首・期末在庫の符号逆転

  • × 誤りの選択肢:「当月仕入予算高は、当月売上高に減価高と期首在庫高を加え、期末在庫高を引いて求める。」
  • ○ 正しい理解:符号が逆です。手元に残す「期末在庫高はプラス」、既にある「期首在庫高はマイナス」です。
  • 模擬問題にみる出題ポイント

  • ポイント1:基準在庫法の計算手順
  • * 設問:年間計画売上高6,000万円、予定商品回転率5回、5月計画売上高700万円のとき、5月月初計画在庫高を求めよ。
    * 解法:年間平均在庫高=6,000万円÷5=1,200万円、月平均売上高=6,000万円÷12=500万円。基準在庫高=1,200万円−500万円=700万円。5月月初在庫高=700万円+700万円=1,400万円。

  • ポイント2:百分率変異法の計算手順
  • * 設問:年間計画売上高9,600万円、予定商品回転率8回、8月計画売上高1,200万円のとき、8月月初計画在庫高を求めよ。
    * 解法:年間平均在庫高=9,600万円÷8=1,200万円、月平均売上高=9,600万円÷12=800万円。8月月初在庫高=1,200万円×1/2×[1+(1,200万円÷800万円)]=600万円×2.5=1,500万円。

  • ポイント3:原価仕入予算高の算出
  • * 設問:当月売上高500万円、値下高30万円、減耗高10万円、月末在庫高800万円、月初在庫高700万円、予定値入率25%のときの原価仕入予算高を求めよ。
    * 解法:売価仕入予算高=500万円+40万円+800万円−700万円=640万円。原価仕入予算高=640万円×(1−0.25)=480万円。

    4. まとめ:商品予算計画の計算手順を体系化して確実に得点源にしよう

    商品予算計画は、売場マネジメントの計数管理における最大の得点源です。

  • 基準在庫法:年6回以下、月初在庫=当月売上+(年間平均在庫−月平均売上)
  • 百分率変異法:年6回以上、月初在庫=年間平均在庫×1/2×[1+(当月売上÷月平均売上)]
  • 仕入予算公式:売上高+値下高+減耗高+月末在庫高−月初在庫高
  • OTB管理:仕入予算枠を残して期中追加・売れ筋対応力を確保する
  • 計算手順と適用条件を整理して、本試験で確実に満点を獲得しましょう!

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    この記事を書いた人

    毛利裕之(1級販売士・中小企業診断士)
    販売士イノベーションラボ運営者です。

    自身も販売士資格の取得経験があり、受験生の悩みや課題を肌で感じてきたからこそ、現場目線で役立つ情報を発信しています。

    販売士を目指すすべての方の成長と合格を、心から応援しています。

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